Tomohiro Nakayama's Page
A Study of Conrad Yeatis ’Sonny’ Clark
(Jul.21,1931-Jan.13,1963)
ソニー・クラークの研究
私は好きなピアニスト、ソニー・クラークの研究を続けてきました(演奏はあまり似ていないと思いますが)。
ここには自分のこれまでのクラークに関する著作と、海外のクラーク研究等について、まとめておきました。
90 年代半ばから「ジャズ批評」にピアニストについていくつか(「特集 ジャズ60年代」「定本 ビル・エバンス」等)書きましたが、
2002年に画期的な「特集 ソニー・クラーク」に書いたものを再録しました。
中山智広著 「ソニー・クラークの作曲」 「ジャズ批評110号 特集ソニー・クラーク」 2002年1月号
中山智広著 「(譜面に書けない=もしかしたら役に立たない)ソニー・クラークの奏法分析」 同上
追記
ソニー・クラークの八分音符の位置(スイングの方法論)
こちらは月刊「ジャズ・ジャパン」に書いた原稿
2011年=クラーク生誕80年に捧げる
中山智広著 「ジャズ・ジャパン」2011年3月号
「ワルツ・フォー・デビイ」の生みの親はソニー・クラークだったのか 「ソニー・クラークの音楽的ルーツはミルト・ジャクソン?」
ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビィ」は、クラークの「マイ・コンセプション」を「(無断?)借用」していたようです。
冒頭3小節のメロディが同じで、しかもエヴァンス自身がそのことを告白していました。
エヴァンスのクラーク追悼曲「NYCS NO LARK」には、この「借用」に対する謝罪の意味が込められていたのではないでしょうか。
そしてもう一つの話題、もしかしたらクラークの演奏はその「タッチ、発音」やフレーズに、ミルト・ジャクソンから影響を受けているのでは?
若き日のクラークはヴァイブも演奏していたのです。
「Waltz for Debbyはmy Conceptionに影響された」とエヴァンスが言った、というTodd
Barkanの証言
"Todd Barkan remembers that Bill told
me he was influenced by My Conception in
writeng Waltz for Debby.
Bill Evans is a very honest guy."は、
Eric Alexander John Hicksらの1993年録音のアルバム「Solid」の解説(原文)に載っているが、
この作品ではMy Conceptionが3拍子で演奏されている。
この種の「借用」はよくあったことで、有名なのは「Donna
Lee」は本当はマイルス作なのに、パーカーが自分の曲にしてしまった
(確かにこの曲は音程の跳躍が少なくて、順次進行の八分音符が多いところが、マイルス作のSippin'
at Bell'sに似ています)とか、
マイルス作「Four」は、本当はEddie Clean Head
Binson作だとか、「Tune Up」は誰だっけ、そうそう「Blue
in Green」は・・・
だからエヴァンスは本当にa very honest guy
ですね。
Waltz For Debby が「代表作」になってしまったことも、エヴァンスには重荷だったのかも・・・
JOHN HICKS/MUSIC IN THE KEY OF CLARK(HIGH NOTE HCD7083)
http://www.amazon.com/Music-Key-Clark-John-Hicks/dp/B00005UF3H
この「Solid」に参加した、ピッツバーグ(同郷)出身のピアニスト ジョン・ヒックスの、1998年録音のソニー・クラーク作品集
M3のMy Conceptionを、やはり3拍子で演奏している。
なお、M2〜9がクラーク作品だが、M5のSonny's
Ballad はここにしかない曲かもしれない。
ヒックスは62年にNYでクラークに出会っている。クラークはいつも自作曲の譜面を、ブリーフケースに入れて持ち歩いていたそうだ。
その思い出でヒックスが書いたのが、M10 Angel
with a Briefcase
2011年はソニー・クラーク・メモリアル・イヤーということで、米国でも研究家=Sam Stephenson氏が頑張りました。
以下は2011年1月13日 クラークの没後48年の命日に書かれた「Paris
Review」の記事
Sonny Clark and the Epitome of Cool - Paris
Review
The Paris Review Notes from a Biographer Sonny
Clark
http://www.theparisreview.org/blog/2011/01/13/sonny-clark/
これらは米国の伝記作家Sam Stephenson:(サム・スティブンソン)氏の、ソニー・クラーク伝記用素材の一部である。
衝撃の「クラーク遺体とり違い事件」等が書いてある。
コメント欄にはクラークの甥、姪、姉Gladysの友人、1962年にNYのJazz
Galleryでクラークを目撃した人の話が出ている。
なお彼の「Jazz Loft Project」では、「ミナマタ」の写真家ユージン・スミスがかつてはジャズマニア(かつ薬物中毒)で、NYにロフトを持っていた、
そこで密かに録音された、クラークの声が入っているテープが残っている、というようなことが「発掘」されている。
My interest in Clark grew when I heard him
on Smith’s tapes from the Sixth Avenue loft
scene. In the wee morning hours of September
25, 1961,
while packing to leave for Japan from Idlewild
Airport later that day, Smith turned on his
tape recorder and let it roll until dawn.
He had live microphones in the hallway and
stairwell. He captured Sonny and his friend,
the saxophonist Lin Halliday, ・・・
スミスは何と、日本に運ぶ荷物を作りながら、クラークとリン・ホリディ(サクソフォニスト)らの会話を録音した。
Stephenson氏はスミスの伝記を書いた後、クラークの伝記を書く計画のようだ。
なおソニー・クラークの姉妹が二人、生存している。
http://www.jazzloftproject.org/?s=about&ss=acknowledgments には
and the family of Sonny Clark, particularly
Gladys Clark Harris and Grace Clark Johnson.
と書いてあるが、これがその二人だろう。
Cool Struttin' with Sonny Clark
The Paris Review Notes from a Biographer Sonny
ClarkU
http://www.theparisreview.org/blog/2011/01/26/sonny-clark-part-ii/
上記の「伝記用素材」の「続編」。クラークの「Five
will get you Ten」は、実はモンクの「Two Timer」だったこと等が書いてある。
これも「借用」ですね。
もちろん生誕80年の2011年7月21日にも記事が書かれた。
Sonny Clark's Birthday
http://www.jazzloftproject.org/blog/general/sonny-clarks-birthday
Sam Stephenson氏のクラーク生誕80年(7月21日)のJazz
Loft Projectブログ
Two weeks ago I finished 3300 words of new
material in a piece called “Sonny Clark’s
Blues,” commissioned by Tin House magazine
Sonny Clark at Eighty posted by Richard
Brody
http://www.newyorker.com/online/blogs/movies/2011/07/sonny-clark-at-eighty.html
2011年7月21日 雑誌「The Newyorker 」の、映画評論家Richard
Brody氏によるブログ。
Stephenson also announces that he’s got a long piece about Clark coming
this fall in Tin House
Clark’s bluesy tunes sparked his own-and
others’-solos of complex and joyful spontaneity,
and his accompaniments were as challenging
as they were tasteful.
と評価している。
2011年11月
Sonny Clark Merody and Melancholy by Sam
Stephenson
http://www.jazzloftproject.org/files/file/Sonny%20Clark%20Melody%20and%20Melancholy.pdf
上記で7月21日に予告された、雑誌「Tin House
」に出たSam Stephenson氏のエッセイ Sonny
Clark: Melody and Melancholy
(これは7月21日のJazz Loft Projectブログにあるように、元々はSonny
s' Blues という題名だったようだ。)
Sonny began playing piano at age four, and
he was still very young when he began playing the
weekend dances.
He could play any instrument besides piano,
too.
I remember him playing xylophone, guitar,
and bass. Everybody marveled at him.”
De Koenigswarter had hired Clark to be her
driver and put him up in her New Jersey home
in order to help him kick his drug habit.
“Sonny was my man,” said Fuller. “We were
instant friends, about the same age. He was
a young scholar of music.
He had the same personality as Coltrane,
dead serious about his music.
from 1991 to 2009, Cool Struttin’ sold 38,000
copies in the States and 179,000 in Japan,
while over the same period,
Coltrane’s classic 1957 release, Blue Train,
sold 545,000 copies in the States and 147,000
in Japan.
等々、興味深い。村上春樹に尋ねた、日本におけるクラーク人気の理由も書かれている。現時点での、クラークの生い立ちについて最も詳しい資料か。
http://samstephenson.org/general/sonny-clark-a-new-piece-in-tin-house-50
Stephenson氏のHPの、上記エッセイが出ている「Tin
House」11-12年冬号(#50)、「美」特集。
Needle in the Groove
http://www.newyorker.com/the-front-row/needle-in-the-groove
2011年11月27日、雑誌「The Newyorker 」の、映画評論家Richard
Brody氏による批評、と言うかドラッグ問題に対する考察。
(こうして2011年はSonny's Year として暮れていったのでした。)
Pittsburgh Music History Sonny Clark
https://sites.google.com/site/pittsburghmusichistory/pittsburgh-music-story/jazz/modern-era/sonny-clark
ピッツバーグの音楽史をまとめたサイトに出た、Stephenson氏によるクラーク略歴。クラークの故郷ハーミニNo.2はピッツバーグ近郊の炭鉱の町である。
During elementary school at age 6 Sonny began
playing piano professionally at the hotel.
Sonny also appeared on a radio amateur hour
show at age 6 performing a boogie-woogie.
Hearing that audiences marveled at Sonny’s
performances the Pittsburgh Courier published
an article about the young pianist.
まさに天才少年だった。
米国西海岸のヴァイブラフォン奏者Jon Nagourney氏
のクラーク アドリブコピー譜面集 Sonny Clark Solo について
http://blog.livedoor.jp/esigrek_3/archives/51910045.html
ここには本のタイトルしかなく、何の参考にもならないが、実際の本にはタイトル、著者名すらない(es
igrekさんはよく輸入してくれました)。
表紙はこの通り 中身詰まってます 手書き譜面
オリジナル34曲(alt.4曲含む 恐らくLavonne、
I Deal の他の全作曲)&他のジャズメンズ・オリジナル&スタンダード18曲の、
テーマ&クラークのアドリブ・コピーを2コーラス程度収めたスグレモノ。中身について詳しくはこちら。
著者Jon Nagourney氏については、http://www.cduniverse.com/search/xx/music/artist/Jon+Nagourney/a/albums.htmによると
Presently teaching improvison(improvisation?),
and is the author of 7 jazz books with emphasis
of more than 1,500 transcribed songs and
solos from the masters of the jazz idioms.
Hank's Mobely and Jones and Sonny Clark are
at the top Of Nagourney's main influences.
He has over 500 Hank Jones solos and 100
solos each of Mobley and Clark.
ということで、スゴイ!彼がヴァイブラフォン奏者であるということは、やはりクラーク〜ミルト・ジャクソン関係を示唆するようで興味深い。
Lee Bloom Sonny Clarak Project
http://www.leebloom.com/sonnyclark.html
米国西海岸のピアニスト リー・ブルーム氏のサイト。「ジャズ批評」に書いたとき、「作曲リスト」を参考にしました。未完成部分多し。
Sonny Clark Discography
http://www.jazzdisco.org/sonny-clark/discography/
参考:ディスコグラフィー・プロジェクトのソニー・クラーク録音一覧です
Sonny Clark and the Japanese Kissa
http://rockfishstew.org/sonny-clark-and-the-japanese-kissa/
2015年6月13日、インターネット雑誌?Rock Fish StewにSam Stephenson氏が書いた記事。
氏は6月15日にノースカロライナ州ラレイにある美術館CAM
raleighにて、ソニー・クラークのLPを集めて「Kissa」を行うことを予告している。
「Kissa」とはもちろん「喫茶」であり、日本のジャズ喫茶から生まれた語だが、この美術館ではシリーズで、様々な人がLPを持ち寄って「Kissa」をやっている。
http://camraleigh.org/big-bent-ears/ 参照。
日本の美術館も「Kissa」やったらいかがでしょうか?何でもArtにしてしまう米国の好奇心と積極性はすごいです(村上春樹が影響しているのかな)。
確かに、米国をはるかに上回った日本でのクラークの人気は、ジャズ喫茶から始まった現象でした。
The Lost Footage of Pianist Sonny Clark Aaron Gilbreath Mar 17, 2016
http://www.michiganquarterlyreview.com/2016/03/the-lost-footage-of-pianist-sonny-clark/
クラークは1956年、ABCのstars of Jazzというテレビ番組に出演した。ハワード・ラムゼイのライトハウス・オールスターズ
(ラムゼイ、クラーク、フランク・ロソリーノ、スタン・リヴィ、ジューン・クリスティ)でのことである。
残念ながら、そのフィルム(恐らくVTR:世界で初めての実用VTRであるAmpex
MarkW は1956年前半に導入された)は残っていないが、
写真とクラークが何についてしゃべったか(台本)は記録されている。
As for the musical advantages, Clark says:
“Working together for long periods of time,
we get to know each other well … which help
our music …”
Sonny Clark Steps Out of the Shadows, on
a Revelatory New Reissue From 1960 Nate Chinen Oct 24, 2017
NYのFM局WBGOのサイト:Time盤「ソニー・クラーク・トリオ」の全録音が、リマスタリングの上限定盤2枚組LPで登場。
このSonny Clark Trio: The 1960 Time Sessions
with George Duvivier and Max Roach は、
Tompkins Square レーベルからのリリースで、ダウンビート2018年1月号で星4.5
を獲得した。
レーベルの創設者Josh Rosenthal氏は、TimeのプロデューサーBob
Shadの孫と幼馴染で、それがこのリイシューに繋がった。
ここには「Nica」にまつわるエピソードの他、「Nica」のリマスタリング音源がupされており、素晴らしい音質で聴ける。
Chuck Stewart撮影の、スタジオでのカラー写真も数枚upされており、豊富な内容だ。
(なおこれらの写真は60年1月というキャプションがあるので、スタンレー・タレンタインのTime盤「ザ・マン」の録音時の撮影と思われる。)
このTime盤は一時1959年録音説(http://nhy3.masa-mune.jp/clark2.htmlの「ロイヤル・フラッシュ」参照)も言われたが、
今回のリイシューは完全に60年の録音としており、この問題はこれで決着した(年の初めの方の記録って、案外前年のまま書いてしまったっていうミスがあり得ます)。
ソニー・クラークの音楽は今も生きている。
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c2015〜中山智広 Tomohiro Nakayama
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